暗い時間に庭へ出るとユリの花の香りが漂うようになりました。
今年はユリの花の咲いた後を摘んでまわって、種ができすぎないようにしています。
自然にまかせておくと、方々に種が飛びすぎて無秩序なことになりますし、1つの花から十分過ぎるほどの種が採取できるので、残す花は1〓3輪でOK。
勝手に生えてくる謎の白いユリは、土地に馴染んでいるぶん繁殖力が凄いです。
そんな中、先日、花ガラを取り除いたユリの先端で、セミが羽化した後が残っておりました。
抜け殻の高さまで視線を落とすと、それまで視界に入らなかったものが見えてきます。そのまま周囲を見回すと、急に見えてきたのがたくさんのセミの抜け殻でした。
葉の裏、たわんだ枝の先、子どもの目線ならすぐに見つかりそうな位置にけっこう多くの抜け殻があって、いつもの庭が一瞬で異世界に変貌。
ここ最近、「もう夏は終わりだ」と思っていたところへ、まだ地面からは続々とセミが出てきていて、忙しく空の彼方に飛び去っていることがわかって、まだシーズン真っ盛りなのだと思い直しました。
そういえば、確かに夏の終わりを知らせるツクツクボウシの声は、まだ一度も聞いていません。
例年通りなら、残暑はもう少しの間続くのでしょう。
ところで、ちょうどこのセミの脱皮の殻のすぐそばには、ルリマツリが植えられています。
今年は周辺の木々が育って日当たりが不足したらしく、ずっと花の咲く気配がないまま8月も終わりになりました。
花が咲かないルリマツリは、ただ鬱蒼としてしまって邪魔な感じになります。
それで、来年は日当たりのいい場所を作って移植するか、挿し木で増やしてそれを別の場所に植え直すか、それとも条件的に無理な感じもするので“諦める”という選択肢も考えはじめていました。
そして今日、セミの抜け殻があちらこちらにあることを発見して、ルリマツリの細い枝先にも抜け殻を発見した時、ようやくポツポツと咲きはじめたことに気付きました。
咲けばこんなに素敵なのになぁ。
やっぱりこの花を諦めたくはない。
とりあえず、これからチョビチョビながらも咲いてくれそうなので、優しく涼しげなブルーの花を眺めながら、他に良い管理の方法はないか考えたい思います。